イタリアは、古くからワインが造られていたといわれているワイン大国。
歴史を遡ると、ワイン繁栄の歴史はフランスより古く、歴史的なワイン醸造に関する資料も多く出土していることで有名です。
そんなイタリアでは、さまざまなブドウの土着品種が栽培され、その価値が今見直され始めています。
ここでは、イタリアで栽培されているブドウ品種の種類について解説していきたいと思います。
イタリアには2000種類以上のブドウ品種が存在している
イタリアでは、カベルネソーヴィニョンやメルロー、シャルドネ、ピノノワールなど国際品種も育てられています。
とはいえ、その多くはイタリア本土のみで栽培されている土着品種が多く、その数はなんと2,000種類を超えるといわれています。
現在、ワインに使用されている量は少ないものの、またいつか復活することは十分に考えられます。
イタリアワインを楽しむということは、「イタリアの味わい」を楽しむ、ということになるのではないでしょうか。
イタリアワインによく使われるブドウの品種【赤ワイン編】
ここからは、まずイタリアワインによく使われている赤ワイン用の黒ブドウ品種を紹介していきます。
Dolcetto【ドルチェツト】
画像引用元:https://www.terroirum.com/ja-jp/wine_grapes/dolcetto/
ドルチェツトは、普段イタリアワインを飲まない方にとっては耳慣れない品種かもしれませんが、イタリアではとてもメジャーな品種です。
ドルチェツトは、イタリア北部のピエモンテ州を中心に栽培しており、酸がおだやかなので飲みやすいワインを造ります。
しかしタンニンがしっかりとしているため、ボディ感があり、熟成にも耐えるので注目されています。カジュアルな価格のワインが多く、日常使いしやすい品種と言えるでしょう。
Aglianico【アリアニコ】
画像引用元:https://calia.me/aglianico-del-vulture-4161d8f69f8d
カンパーニア州などで多く栽培されている赤ワイン用のブドウ品種のひとつが、アリアニコです。
イタリア南部の主要品種と言われており、果実味がしっかりとしたボリューム感のあるワインを造ります。
タンニンも豊富にあるのですが、糖が上がりやすいボリューミーな品種なため、全体にバランスの良い飲みやすいワインが仕上がります。
近年、高級ワインとしてアリアニコが活用されることもあるので、注目し続けたい品種です。
Nebbiolo【ネッピオーロ】
画像引用元:https://tapswineshop.com/2017/01/31/nebbiolo-features-wine-produced/
イタリア随一の高貴なブドウ品種が、ネッビオーロです。
バローロ、バルバレスコといったイタリアの高級ワイン産地の主要品種で、1本数万円を超えるワインを生み出す品種として重宝されています。
ネッビオーロは酸が豊富でありながら、タンニンが少ないため、数年で枯れたような淡い色合いに変化します。
香りも豊富に含み、熟成に耐えるため長期間保存するという楽しみ方も可能です。
ネッビオーロは、とても繊細なブドウ品種であり、ピエモンテ州以外で栽培することが難しいとされています。
その証拠に、さまざまなワイン産地が世界中にあるにもかかわらず、ネッビオーロ種だけは新世界も手を出していない、というユニークな品種となっています。
収穫時期が遅く、病害などにやられやすい性質を持っていることから、栽培が難しいとされているのです。貴重なブドウだけに、高級ワインとなるんですね。
Sangiovese【サンジョヴェーゼ】
画像引用元:https://www.chicagotribune.com/dining/drink/wine/sc-sangiovese-italian-grape-wine-food-0825-20170824-column.html
イタリアでもっとも広く栽培されており、生産量もイタリアで最も多いといわれているのが、サンジョヴェーゼです。
イタリア中央部のトスカーナ州が主要産地であり、さまざまなスタイルのワインが造られています。
酸が豊富なのですが、タンニンもしっかりと残っているため、熟成にも耐えうるワインを生み出します。
生産者によって栽培方法や醸造方法が違ってくるため、同じトスカーナ州のサンジョヴェーゼでも味わいのスタイルが違うワインに多く出会えます。
高級ワインである、ブルネロと呼ばれる赤ワインはサンジョヴェーゼの粒が大きなブドウ品種を使用しています。
サンジョベーゼは、基本的にブレンドで使われることが多く、一部カベルネソーヴィニョンやメルロなどの、国際品種とのブレンドに使用されることもあります。
イタリアワインによく使われるブドウの品種【白ワイン編】
イタリアは、赤ワインの生産量がとても多いのですが、カジュアルで飲みやすい白ワインも多く造られています。
ここからは、イタリアで造られている白ワイン用のブドウ品種をいくつか紹介していきましょう。
Garganega【ガルガネガ】
画像引用元:https://www.terroirum.com/ja-jp/wine_grapes/garganega/
白ワインの産地としても知られているイタリア北部ですが、ヴェネト州では普段使いしやすいワインが多く生産されています。
特に、ガルガネガというブドウ品種から造られる白ワインが人気であり、それは「ソアーヴェ」と呼ばれています。
ソーアヴェは、すっきりとした味わい、穏やかな酸、火打石の風味など、快活な味わいの白ワインとして重宝されています。魚介類にも合わせやすい、おすすめの白ワインです。
Pinot 【ピノ】
画像引用元:https://vinepair.com/articles/so-whats-the-difference-between-pinot-grigio-gris-and-blanc/
今、イタリアで注目されている白ブドウ品種がピノです。
皮がやや厚みがあり、仄かな苦みと甘さを持ったのみ心地の良いワインを楽しむことができます。
さまざまなスタイルのワインを生み出すことができる品種で、辛口からやや甘さを持ったワインも存在します。比較的日本でも手に入りやすい品種として知られているので、おすすめですよ。
Moscato【モスカートorマスカット】
画像引用元:http://blog.lastbottlewines.com/learn-wine/moscato/
イタリアワインの中でも、甘さとフルーティーさを感じられるということで人気が高い品種が、モスカートorマスカットです。
マスカット系ブドウ品種は、果皮に香しい香りの成分を多く含み、発酵の過程でその香りがワインから発せられます。
アスティスプマンテなど、やや甘さを感じさせるスパークリングワインに使用されるなど、イタリアワインの中でも重要な立ち位置の白ブドウ品種となっています。
Cortese【コルテーゼ】
画像引用元:https://www.terroirum.com/ja-jp/wine_grapes/cortese/
コルテーゼは、バローロやバルバレスコなど、前述したイタリアきっての高級ワイン産地ピエモンテ州で栽培されている白ブドウ品種です。
ピエモンテ州というと、赤ワインがとても有名なのですが、実は白ワインも負けず劣らず品質の高いものが存在しています。
それが、コルテーゼという白ブドウ品種から造られる、ガヴィというワインです。
繊細かつ、アロマティックな香りを放つ爽やかなワインとなっており、その味わいの良さは多くの人たちに愛されています。
イタリア本土でも、人気の高い白ワイン品種ですので、イタリアワインを知る上では欠かすことができない、重要品種といっても過言ではないでしょう。